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労務コラム

2024.05.09

キャリアアップ助成金正社員化コースの「正規雇用労働者」の定義とは?

「キャリアアップ助成金正社員化コース」は、令和5年11月29日以降の取り組みについて、以前コラムで解説したとおり要件の変更がありましたが、令和6年4月以降は、制度の大きな変更はありません。
しかし、この助成金の支給要件における「正規雇用労働者」の定義が示されました
今回は、令和6年4月以降における正規雇用労働者の定義について解説していきます。
(こちらの解説は現時点でのものであり、今後変更となる場合があります。)

正規雇用労働者の定義とは?

今回キャリアアップ助成金の支給要領には、就業規則等に規定されている、長期雇用を前提とした賞与や退職金制度、昇給制度が適用された「正規雇用労働者」の定義として、"賞与、退職金及び昇給については、正規雇用労働者に適用する制度として相当な水準の待遇を備えた制度であること"、と示されました。
以下に、今回新たに示された「正規雇用労働者」の定義をご紹介いたします。

<正規雇用労働者の定義>

昇給、賞与、退職金制度について、以下のとおり取扱います。なお、当該制度については、いずれも長期雇用を前提とした正規雇用労働者の待遇であることが必要です(※)。

(昇給)
原則としては、基本給の昇給かつ、年1回以上の実施が予定される昇給制度をいいますが、全ての正規雇用労働者に支給され、かつ残業代や賞与、退職金の算定基礎となる諸手当を昇給する制度については、原則の昇給制度と照らして不合理な制度でないと客観的に判断できる場合には支給対象となり得ます。
(賞与)
支給要領に定める賞与の要件に該当する制度である場合、賞与以外の名目であったとしても支給対象となり得る場合があります。例えば、本人の業績や貢献度等によって、事務職には賞与を6か月に1回支給、営業職には歩合手当を3か月に1回支給しており、他の賃金待遇も変わり無い場合、この歩合手当の計算方法が賞与制度と比較して同等の制度であると客観的に判断できる場合には、営業職についても賞与制度を備えているものと見做し、支給対象となり得ます。
(退職金)【継続。「iDeCo+」(イデコプラス)は引き続き対象外。】
原則としては、事業主が積立・拠出額を負担することを規定した制度であって、実際に積立・掛金の拠出が行われている制度をいいますが、企業型確定拠出年金(選択型)をいわゆる生涯設計手当等の名目で予め受け取る場合や、その他原則の退職金制度と照らして不合理な制度でないと客観的に判断できる場合には支給対象となり得ます。

※企業規模や職種、地域の賃金水準等を勘案した、通常の正規雇用労働者の労働条件として妥当な額。
本助成金の賞与・退職金制度導入コースにおいては、非正規雇用労働者を対象とした処遇改善の基準として、6か月あたり5万円以上の賞与支給、1万8千円以上の退職金積立を要件としています。
本助成金の正社員化コースの場合は、転換後に担う職務の内容や責任の程度が非正規雇用労働者と異なる前提(キャリアアップの趣旨)であることから、上述を超える額かつ企業規模等を勘案した額の支給・積立を前提とした制度であることが指標となり得ます。
※各制度について就業規則等に規定され、正社員に適用されていることが必要です。

引用元:厚生労働省 キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001239297.pdf

昇給、賞与、退職金について示されておりますが、いずれも例外的な事例に対してのものであり、注目すべきは「※企業規模~」以降の文章です

まず、キャリアアップ助成金には「賞与・退職金制度導入コース」があり、「賞与・退職金制度導入コース」の場合、6か月あたり5万円以上の賞与支給、1万8千円以上の退職金積立を要件とすることに言及しています。

「正社員化コース」においての賞与・退職金制度については、「賞与・退職金制度導入コース」を超える額かつ企業規模等を勘案した額の支給・積立を前提として制度であることが指標となり得るという内容ですので、賞与については、6か月あたり5万円を超える額、退職金については、1万8千円を超える額ということになります。

キャリアアップ助成金正社員化コースでは、特に賞与の制度を設けることで、支給要件を満たしている企業が多いのではないかと思いますので、この指標ができたことは大きな影響があるのではないでしょうか。
今回の指標からもわかるように、年々、正規雇用労働者転換後は、非正規雇用労働者と比較して実際に待遇が改善されているということが求められるようになってきております。
しかし、この内容はあくまでも「指標」であり「要件」ではありませんので、この金額を支給・積立しなければ必ず不支給になるというものではありません。
では、"具体的にいくら以上の金額であれば良いのか?"は、現時点では何とも申し上げることができませんので、やはり賞与であれば、「6か月あたり5万円を超える額」ということになります。

ほし社会保険労務士事務所では、キャリアアップ助成金正社員化コースを含む助成金の要件改正に注目しつつ、申請の代行を行っております。
煩雑な手続きを代行し、必要な項目を分かりやすくご説明し、スムーズな助成金受給のために尽力いたします。
ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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