2025.01.06
フリーランス(業務委託)と労働者の違いとは?
令和6年11月1日からいわゆる「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されたことにより、「フリーランス」と「労働者」の判断の重要性が改めて問われています。仕事の条件等について、「フリーランス」には「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が適用され、「労働者」には「労働基準法」が適用されることになりますので、どちらの適用となるのか、明確にしておく必要があります。
今回は、「フリーランス」と「労働者」の違いについて解説していきます。
「フリーランス」と「労働者」の違いのポイント
「フリーランス」とは
「フリーランス」とは、業務委託(請負契約又は委任契約・準委任契約)により、仕事の依頼を受けた個人(法人化した者も含む)のことをいいます。
このフリーランスとして働く方の中には、実態として労働基準法上の「労働者」に該当する働き方をしているにもかかわらず、名目上は自営業者として扱われ、労働基準法等に基づく保護が受けられていないといった問題が指摘されています。
「労働者」とは
「労働者」とは、労働基準法では、「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定されています。
実務上の2つの基準
実務上、「労働者」に当たるかどうかは、次の2つの基準で判断されます。
①労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか、すなわち、他人に従属して労務を提供しているかどうか
具体的な判断基準は、主に以下のとおりです。
→自分決めることができなければ労働者性が強くなります。
(イ)業務の内容や遂行方法について、発注者等から具体的な指揮命令を受けているかどうか
→指揮命令を受けていれば労働者性が強くなります。
(ウ)発注者等から、勤務場所と勤務時間が指定され、管理されているか
→勤務場所と勤務時間が指定され、管理されていれば労働者性が強くなります。
②報酬が、「指揮監督下における労働」の対価として支払われているかどうか
次のような場合は労働者性が強くなります。
(イ)仕事の結果や出来映えにかかわらず、仕事をしなかった時間に応じて報酬が減額されたり、いわゆる残業をした場合に追加の報酬が払われるような場合
フリーランスを雇う場合の注意
企業としては、人を労働者として雇う場合、社会保険料の事業主負担分が発生したり、様々な労務管理業務が発生するため、それらが無いフリーランスを雇う=業務委託契約を結ぶ方がメリットが大きいと言えます。
しかし、実際の働き方から労働者であると判断された場合、過去に遡って残業代の支払いが必要になる場合もあるため、判断は慎重にしなければなりません。
ほし社会保険労務士事務所では、業務委託契約が有効であるかどうかについて、様々なリスクの説明もしつつアドバイスを行っております。
ぜひお気軽にご相談ください。