2025.12.08
教育訓練休暇給付金とは?企業が知っておきたい制度の概要と導入のポイント

令和7年10月1日より、雇用保険の新設給付として教育訓練休暇給付金が創設されました。
この給付金は企業側(事業主)の協力がないと支給されない仕組みになっています。
今回は、この教育訓練休暇給付金について解説します。
教育訓練休暇給付金とは?
労働者が離職することなく教育訓練に専念できるよう、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、その訓練・休暇期間中の生活費を保障するために、失業給付(基本手当)に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する制度です。
一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者が、就業規則に基づき連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取得する場合に、教育訓練休暇給付金を受給できます。
簡単に言えば、従来からある失業保険を在職しながら受け取れるようなものです。
ただし、この給付金を受け取った場合、雇用保険の被保険者期間がリセットされます。復職後すぐに退職することになると、本来受け取る予定だった失業保険(基本手当)が受け取れなくなることに注意が必要です。
就業規則への規定について
労働者が教育訓練休暇給付金を受給するためには、事業主において就業規則への教育訓練休暇制度の規定が必要です。
したがって、企業側がこの休暇制度を導入しなければ、労働者はこの給付金を受け取ることが出来ない仕組みとなっています。
*就業規則等への教育訓練休暇制度の規定の例(参考:厚生労働省のパンフレットより)

受給手続きの流れについて
- 労働者本人と事業主とで教育訓練休暇の取得について合意
- 労働者本人から事業主へ「教育訓練休暇取得確認票」を提出
- 休暇開始後に事業主が「賃金月額証明書」をハローワークへ提出
※その際に制度が規定された就業規則の写し等が必要 - 労働者本人がハローワークへ受給資格決定のための手続きを行う
※その際に事業主が必要事項を記入した「教育訓練休暇取得確認票」、ハローワークから交付された「賃金月額証明書」等が必要 - 労働者本人がハローワークへ認定手続きを行い、給付金を受け取る
※休暇開始から30日を経過するごとに行う
このように、最初は事業主としても行わなければならないことがありますが、以降の手続きについては労働者本人が行うことになっています。
新しく創設された教育訓練給付金を受給するためには、教育訓練休暇制度を導入することが必要です。教育訓練のために退職する従業員が減るという効果がある一方、就業規則に規定した条件に合致した従業員からの休暇の申出は受けなければなりませんので、一時的な人手不足に陥る可能性もあります。
そのため、制度の導入は慎重にしなければなりません。
ほし社会保険労務士事務所では、教育訓練休暇制度の導入に関するご相談や、必要に応じた就業規則の改定についてもご相談を承っております。
導入をご検討中の企業さまは、ぜひお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。