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労務コラム

2024.11.05

定年後の高年齢者の賃金水準は?雇用保険との関係も解説

少子高齢化が進み労働力人口が減少している日本では、高年齢者層を活用していくことが重要になってきます。そのような中、内閣府から令和6年度「年次経済財政報告(経済財政白書)」が公表されました。今回は、定年後の高年齢者の賃金水準の現状を確認しつつ、雇用保険からの給付金との関係や年金との関係について2回に分けて解説していきます。

現状の定年後の高齢者の賃金について

定年前の収入の6割を目途とする判例の影響などもあり、定年後の賃金水準を定年前の6割未満としている企業は全体の1割未満となっています。
また、この5年間の動向をみると、定年前収入の7割程度以下の賃金とする企業の割合が約15%減少する一方で、逆に、8割程度からほぼ同程度とする企業の割合が約15%増加しています。
その結果、定年前収入の8割以上とする企業が、現在全体の約40%になっています。

参考:令和6年度「年次経済財政報告(経済財政白書)(PDF)」より

高年齢雇用継続基本給付金との関係

①高年齢雇用継続基本給付金とは
高年齢雇用継続基本給付金は、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。

②高年齢雇用継続基本給付金の支給額
高年齢雇用継続基本給金の支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は、各月の賃金の15%相当額となり、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満の額となります。

(※)令和7年4月1日以降に60歳に達した日を迎えた方については、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の64%以下に低下した場合の支給額は、各月の賃金の10%相当額となり、60歳時点の賃金が64%超75%未満に低下した場合の支給額は、その低下率に応じて、各月の賃金の10%相当額未満の額となります。

例えば、高年齢雇用継続基本給付金について、60歳時点の賃金が月額30万円であった場合、60歳以後の各月の賃金が18万円に低下したときには、60%に低下したことになりますので、1か月当たりの賃金18万円の15%に相当する額の2万7千円が支給されます。

参考:ハローワークインターネットサービス

現状の定年後の賃金については、少子高齢化や判例の影響もあり、以前よりも高水準を保つ企業が増えてきております。
一方で、定年年齢が60歳の企業では、定年後に賃金を下げると雇用保険から高年齢雇用継続基本給金が活用できます。高年齢雇用継続基本給金は、定年後の賃金を定年前の賃金の75%未満でなければ支給対象になりませんので、定年後の賃金水準をどの程度に設定するかは悩ましいところです。

次回は年金との関係を中心に解説する予定ですので、ぜひサイトをチェックしてくださいね。

ほし社会保険労務士事務所では、高年齢者の賃金制度設計について、雇用保険からの給付金との関係や年金との関係も考慮したアドバイスも行っております。
ぜひお気軽にご相談ください。

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